『眠りの習慣を整え、いい夢を見る。』
- 京都ほぐし堂WEB

- 1月5日
- 読了時間: 14分
更新日:6 日前

🌙今夜の夢、選べたなら何を見る?
「今日はどんな夢が見たい?」
そう聞かれて、すぐに答えられる人は、きっと少ないかもしれません。
それでも、眠る前にふと浮かぶことがあるのです。
「やさしい夢だったらいいな」
「なんだか今日は、ちょっとだけ逃げたい気分」
「できれば、あの人が夢に出てきてほしいな」──と。
夢は選べない、とよく言われます。
確かにそうかもしれません。
でも、夢の“入り口”に立つ前の自分が、どんな状態で眠りにつくのか──
その準備によって、見える景色は少しずつ変わってくるようにも思うのです。
眠りは、スイッチではなく「波」のようなもの。
強引に寝ようとすると、波は逃げていきます。
逆に、少しずつ呼吸を合わせていくように体と心をゆるめていくと、
波がこちらに近づいてきて、やがて包み込んでくれる。
このコラムでは、そんな“眠りに落ちるまでの過ごし方”と、
その先にある「夢」との付き合い方について、
リラックスの視点からそっと見つめてみたいと思います。
テーマは、「今夜の夢を選べたなら」。
とはいえ、見たい夢の台本を書くわけではありません。
眠る前に心と体をどう整えたら、
“やさしい夢”が訪れやすくなるのか。
また、なぜ私たちは夢の中でまで、安心を求めてしまうのか。
その答えを、脳と感情と身体のちいさな仕組みに探りながら──
静かな夜の読書のように、そっとページをめくっていきましょう。
今夜、あなたが見る夢が、
ほんの少しでも、やわらかくて、やさしいものでありますように。
目次
第1章|夢が生まれる場所──脳と心の、夜の風景
眠っているあいだ、
私たちの意識は“どこか別の場所”を旅しています。
見たことのない町、昔の教室、もう会えない人、話したことのない誰か。
時間も場所も自由に飛び越えて、
ストーリーのような、断片のような、映像のような世界が広がる。
それが「夢」です。
でも、そもそも夢ってなんなのでしょう?
「夢を見る脳」は、起きている脳とは違う?
夢を見るのは、主に“レム睡眠”と呼ばれる浅い眠りのタイミングです。
脳が活発に動いている状態でありながら、体は動かない──という不思議な現象が起きています。
実はこのとき、脳の中で「感情」や「記憶」を司る部分が活発に働いているんです。
たとえば:
感情の処理 → 側坐核、扁桃体
記憶の整理 → 海馬、前頭葉
想像力・直感 → 後頭葉、頭頂葉など
つまり夢は、日中に受けた刺激や感情を、
夜のあいだに“再構成”しているような状態。
その結果、意味のないようで、どこか感情的な“映像”として私たちの意識に表れるのです。
夢は「脳のリハーサル」
最近の研究では、夢は「記憶の統合」や「感情の処理」の役割を持っているとも言われています。
たとえば…
嫌な出来事を“見直して”整理する
印象的な体験を長期記憶に残す
未来に備えて、シミュレーションをする
こうした“内的な処理作業”を、夢というかたちで行っているわけですね。
だからこそ、夢には不思議なリアリティがある。
ときには感情のカスが、夢の中に残ったまま朝を迎えることもありますよね。
「なんだか悲しい気分で目が覚めた」
「あの夢の続きを見たかった」
「今日も変な夢を見た気がする」
そんなふうに、夢の余韻が私たちの「目覚め」にまで影響を与えるのです。
夢は、あなたの“もうひとつの居場所”
夢は選べない。
でも、夢は「今の自分の状態」によって、大きく変わります。
たとえば──
不安な夜には、追いかけられる夢
優しくされた日は、なつかしい人が出てくる
うまくいった日は、景色のきれいな場所にいることが多い
夢は、脳が勝手に作っているものではありません。
あなたの中にある「感情」と「記憶」が、静かに物語を編んでいるのです。
だからこそ、“いい夢”を見るには、
眠りに入るときの心の状態が、とても大切なのかもしれません。
次章では、
そんな「眠りにつくまでの時間」──
いわゆる「入眠前の過ごし方」が夢にどんな影響を与えるのか、
具体的に見ていきましょう。
第2章|“いい夢”を見やすい夜の過ごし方──眠りの質を上げる習慣
「今日の夢はよかったなあ」
そんなふうに思える朝を迎えると、なんだか一日が穏やかに始まる気がしますよね。
でも、いい夢を見るために「コントロール」できることってあるのでしょうか?
結論から言えば──
夢そのものは選べないけれど、夢を生み出す“土台”は整えることができるのです。
それが、「眠るまでの過ごし方」。
この章では、リラックスできる入眠前のルーティンや、夢に作用する心身の状態を整えるヒントをご紹介します。
1|夢は「寝る前の気分」に左右される?
あなたが最後に考えていたこと、感じていたこと。
それらがそのまま“夢の入り口”になることは、意外と多いのです。
ネガティブなSNSを眺めたあと → 不安な夢
お風呂でほっとしたあと → やさしい夢
誰かと笑いあったあと → 楽しい夢
つまり、夢は心の“余韻”を受け取っている。
だからこそ、入眠前にどんな感情で1日を締めくくるかが、とても大事になります。
2|“心と筋肉”をゆるめてあげる
夢を見るのは、頭の中だけの現象じゃありません。
実は、身体のこわばりや神経の緊張が強いと、夢も荒れやすくなるのです。
たとえば…
足が冷えている
肩に力が入っている
顎を無意識に噛みしめている
こうした「力み」は、脳に“警戒モード”を送ります。
だからこそ、入眠前は:
🛀 湯船につかって深部体温をゆっくり下げる
🧘♀️ ストレッチや足指を動かして末端をゆるめる
💆♀️ 頭や顔まわりを優しくマッサージする
など、“筋肉のリラックス”を通して、脳を安心させることが大切なんです。
3|「入眠前の音と光」に、いい夢のスイッチがある
光や音の刺激は、思っている以上に“夢の質”に影響します。
明るすぎる部屋 → 脳が覚醒して眠りが浅くなる
刺激的な音楽や動画 → 神経が高ぶり夢が不安定に
スマホのブルーライト → メラトニン分泌が減少
その代わり、やさしい音や暗がりのなかで眠ると、夢が穏やかになると言われています。
おすすめは…
🕯間接照明のオレンジ色で部屋を包む
🎶静かな環境音(雨音、焚き火、ピアノなど)を流す
📖紙の本を1ページ読む(なるべくフィクション)
つまり、“夜を夜らしく”整えるだけで、心がゆるみ、夢への準備が始まるのです。
4|“なにを考えて眠るか”が、夢のテーマになる
最後に…
「何を想いながら眠りにつくか」が、夢の世界をやさしく変えてくれます。
会いたい人を思い浮かべる
行ってみたい場所を想像する
今日うれしかったことを思い返す
これらは、脳に「安心」と「想像」の種を植えるようなもの。
なかでも「心地いい映像を描いて眠る」ことは、夢を“良いもの”に誘導しやすくする効果があるとも言われています。
たとえば──
夜の海辺をゆっくりと歩く夢。
月明かりが、静かに波を照らしている。
砂の上に残る足跡と、潮のにおい。
手には、ほんのり温かい紙コップ。中身は何だったか、思い出せないけれど、
そのぬくもりだけが、たしかに残っている。
そんなふうに、
自分の中にある「ほっとする記憶」や「憧れの場所」を思い描くことが、心地よい夢の扉を開ける鍵になるのかもしれません。
第3章|**“夢を見る力”は、脳と心のコンディションに宿る
眠っているあいだ、私たちの意識はほとんど休んでいます。
でも、脳は完全には止まりません。
むしろ、夢を見る時間(=レム睡眠)にこそ、脳は独自の活動を始めるとも言われています。
それはまるで、昼間に取りこぼした思考や感情を、
夜のあいだに整理整頓するような営み。
夢というのは、そんな“整理整頓中”に
ぽろっとこぼれ落ちてきた、心の断片なのかもしれません。
1|夢は「記憶の編集作業」の副産物?
心理学や脳科学の分野では、
「夢を見ること=脳が記憶や感情を再処理するプロセス」だと考えられています。
たとえば──
嫌な出来事が夢に出てきたあと、少しだけ心が整理された気がする
現実には起こっていないけれど、夢の中で何かを“納得”できている
会いたかった人と夢で再会して、朝がすこし穏やかに始まる
そんな経験がある人も多いのではないでしょうか。
つまり夢は、「現実から逃げる場所」ではなく
現実と向き合うために、心がつくる“回復装置”でもあるのです。
2|体のこわばりと夢の質の関係
実は、夢の質は「脳」だけでなく「体の状態」にも大きく左右されます。
身体がこわばったまま眠ると、
緊張や圧迫を脳が“危機”として処理してしまい、
悪夢や不安な夢が出やすくなるという研究結果もあります。
逆に、足指・肩・腰などの力が自然に抜けた状態で眠ると、
夢の中でも呼吸が深く、感情が安定する傾向があるのだそうです。
だからこそ、軽くストレッチをしてから寝る。
あたたかい飲み物で胃を休ませる。
湯たんぽでお腹を温めておく。
──そんな小さなことの積み重ねが、夢の「穏やかさ」を支えてくれます。
眠る前にカラダをゆるめることは、
“いい夢を見るための準備”でもあるのですね。
3|「感情の消化」が、夢で行われている
夢の中では、驚くほど自由なストーリーが展開されます。
登場人物が現実とは違っていたり、場所や時代が入り混じっていたり。
でもその根底には、現実で感じきれなかった感情が眠っています。
傷ついたのに平気なふりをした日
言いたいことを飲み込んだ夜
誰かの一言に、引っかかったままの心
そういった“感情のカケラ”を、夢は拾い上げ、そっと再生してくれます。
夢の中では、過去が書き換わることもあります。
言えなかった言葉を、ちゃんと伝えることもある。
涙を流すことも、笑うこともできる。
夢とは、そういう心の修復作業なのかもしれません。
4|夢を「味方」にする眠り方
「夢はコントロールできないもの」と思われがちですが、
じつは
ハーバード大の研究では眠る前の過ごし方が、夢の内容に影響を与えることがわかってきているそうです。
好きな香り(ラベンダー、ヒノキなど)を使って脳をリラックスさせる
心地よい音楽を流して「安心」の波を脳に届ける
ほっとする風景や、思い出を思い描いてから眠りにつく
これらはすべて、「夢を見る脳のコンディション」を整えるためのスイッチになります。
夢は、意識の奥にある“気持ち”を映す鏡。
だからこそ、眠りにつくときに「どんな気分でいたか」が、そのまま映し出されるのです。
心がゆるんでいるとき、夢はやさしくなる。
緊張が強いとき、夢はざらついたまま。
それなら、今日の眠りだけは、やさしいものであってほしい。
そんなふうに思えたら、
夢を見ることは“特別な能力”ではなく、“日常の選択”の先にあるものだと感じられるかもしれません。
第4章|“なにを考えて眠るか”が、夢のテーマになる
眠る直前にふと思い浮かんだ人や景色が、
そのまま夢に登場した──そんな経験はありませんか?
「最近あの人に会っていないな」と思って眠ったら、
夢の中でその人と笑っていた。
「また行きたいな」と思った場所の風景が、
夢のなかでやわらかく広がっていた。
夢の内容は“予測不可能”なものと思われがちですが、
じつはそのベースには、眠る前の思考や感情の残り香が潜んでいることが多いのです。
1|脳は「最後に触れたイメージ」を再生しやすい
脳は眠る直前の情報を、睡眠中に“整理・定着”しようとします。
つまり、眠る前に心が触れた感情や風景が、夢に再登場しやすいということ。
これは学習のメカニズムにも似ています。
「試験前に見た内容が夢に出てきた」という話を聞いたことがある人もいるかもしれません。
同じように、「心地よいこと」を思い浮かべたまま眠りに入ると、
その安心感を脳が記憶として再現しようとする。
その結果、やさしい夢、楽しい夢が生まれやすくなると言われています。
2|“感情の温度”は、夢に引き継がれる
眠る直前にどんな気分でいたか──
それは、夢のトーンにも影響します。
たとえば、イライラした気持ちを引きずったまま眠ると、
夢の中でも誰かと衝突するようなシーンが現れたりします。
逆に、ほっとする感情に包まれて眠ると、
夢の中でも人と穏やかに過ごしたり、きれいな景色が出てきたり。
これは“内容”というより、夢の空気感そのものに影響するのです。
だからこそ、眠る前に「安心できるもの」を思い浮かべる習慣は、
夢の質を静かに整える力を持っています。
3|「考える」より「感じる」がちょうどいい
ここで大事なのは、
“無理にポジティブなことを考える”必要はないということです。
明るく楽しい未来のことを無理にイメージするのではなく、
「気持ちいいな」「この感じ、好きだな」
といった “今の自分が感じられるやさしいイメージ”に目を向けてみるのがベストです。
たとえば──
夕方の空の色を思い出す
今日あった小さな嬉しさを思い返す
好きな人の笑顔を思い出す
以前見た、美しい景色の中に“入り込む”ように想像してみる
これらはすべて、心をやさしく鎮めながら、
夢に続く道を静かに照らしてくれる“感情のランタン”になります。
4|「選ぶこと」が、夢の入り口を変えていく
夢はコントロールできない。
でも、「夢への入り口」なら、自分で選べる。
それがこの章の結論です。
“今夜の夢を選べたなら”──
そんなことはできないけれど、「どんな気持ちで眠るか」は、選ぶことができる。
疲れている日ほど、やさしい気持ちに触れてから眠る
心がざわついている日は、あたたかい音や香りに助けてもらう
頑張りすぎた日は、「何もしない自分」も認めて、呼吸だけに意識を向ける
そのひとつひとつが、夢の“入り口”を穏やかなものにしてくれます。
5|たとえば、こんなふうに
たとえば、こんな夜を想像してみてください。
眠る前、音もなく降る雪のような静けさ。
読まないまま置いてあった詩集をパラパラめくる。
お気に入りのルームソックスをはいて、やわらかい毛布にくるまる。
スマホの通知はすべてオフにして、目を閉じる。
「今日もいろいろあったけど、今はあたたかい」
その一言が、心に残ったまま、眠りに入っていく。
夢のなかに、誰かが微笑んでいて。
やわらかい光が差していて。
朝、目覚めたときに、ほんの少し気持ちが整っている。
──そんな眠り方ができたら、
夢はきっと、今日の終わりに訪れる「ごほうび」になるのだと思います。
6|**“おまじない”みたいな、眠るための工夫たち**
深く考えなくても、すっと眠りに入れる夜があります。
そういうときって、決まって“ちいさな準備”をしていたりします。
たとえば──
枕元に、やさしい香りのハンドクリームを塗っておく
電気を消す前に、湯たんぽをお腹にあてておく
目を閉じて「今日は大丈夫だった」と、心の中で唱えてみる
好きなセリフをひとつ、そっとつぶやいてみる(「ありがとう」でも、「また明日」でも)
科学というより、“自分だけの儀式”のようなもの。
それがあると、気持ちが眠る準備を始めやすくなるのです。
7|科学が教えてくれる、夢をよくするヒント
眠る前の行動には、科学的な裏付けがあるものもたくさんあります。
寝る90分前の入浴で深部体温を下げる(副交感神経が優位に)
就寝30分前にはブルーライトを断つ(メラトニン分泌を促す)
寝る直前に「好きな記憶」や「楽しかった出来事」を思い出す(ポジティブな記憶の再生)
また、「感情記憶」は夢の題材になりやすいとも言われています。
つまり、楽しいことに“気持ちが動いた日”は、楽しい夢につながりやすい。
逆に、不安や怒りを引きずると、夢の中にも影響を残してしまう。
だからこそ、眠る前の時間を「心のクールダウン」のように整えることが大切なんですね。
まとめ|夢は「心のコンディション」にそっと寄り添うもの
「今日はいい夢を見たいな」と願うこと。
それは、どこか子どもっぽい感覚のようにも思えるけれど──
実はとても大人な“心の整え方”なのかもしれません。
眠りとは、ただのスイッチオフではなく、
「いまの自分を受け入れる時間」でもあります。
目を閉じて、今日の自分を思い返しながら、
ほんの少し先の明日を想像して、
感情の奥にふわりと浮かんでくる風景に、身をゆだねる。
その時間には、
「何が正解か」や「結果を出すこと」なんて、まったく必要ありません。
必要なのは、
自分にとって心地よい気配。
安心できる空気。
ほっと力の抜けるまどろみのリズム。
それらが、夢の入り口をすこしだけ明るく照らしてくれるのです。
たとえ、夢の内容を完璧にコントロールすることはできなくても──
「今夜は、いい夢が見られる気がする」と眠りにつけるだけで、
それはもう、ひとつの癒しのかたちです。
毎晩訪れる「眠り」という時間。
そこには、「こうあるべき」から自由になった自分がいます。
そこでは、言葉も正しさも背負う必要がありません。
ただ、自分らしいかたちで、やさしく、静かに夢を迎えにいけばいい。
そして、願わくば。
あなたの“今夜の夢”が、心の奥にあったやさしい気持ちとつながって、
明日のあなたを少しだけ軽く、整えてくれますように。


