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「なんか変…それ、自律神経の春モードかも」

体調のすぐれない女性

春、なんとなく気持ちが軽くなる季節。

明るい日差し、やわらかい風、芽吹きはじめた木々。

街を歩けば、フレッシュな空気とともに「さあ、新しい季節がきたぞ」という声が聞こえてきそうです。


でも、その一方で・・・。

朝起きられない、眠っても疲れが取れない。気分がふわふわして集中できない。やる気が出ない、すぐにイライラする。


──そんな「なんか変…」を感じている人も、実は少なくないのです。


「春って気持ちいいはずなのに、私だけなんでこんなに不調なの?」

そう感じてしまうことありませんか?


それ、もしかすると自律神経が“春モード”に切り替わっている途中なのかもしれません。


自律神経は、わたしたちの体のリズムを見えないところで調整してくれている存在。

でも、春は気温・気圧・環境の変化がとても大きくて、実はかなり負荷のかかる季節でもあります。

そんな中で自律神経がうまくバランスを取りきれず「なんか変…」というサインを出してくることがあるのです。


それはあなたが弱いからでも、だらしないからでもなく、ちゃんと“変化に反応できている証拠”。


このコラムでは、そんな春のゆらぎと上手につきあっていくために、

自律神経をやさしく整えるコツを、ゆるっとお届けしていきます。


無理しない春。がんばらない春。

でもちょっとだけ自分のためにできること。

そんな春の過ごし方、ここで一緒に見つけてみませんか?



目次




◆1. 春って、なんだか調子くるうかも。。


春だなー。

ぽかぽか陽気、桜の開花、明るい日差し。

カレンダーを見れば「春分」、街には新生活を始める人たちの姿、テレビやSNSでは「気持ちを新たにがんばろう」「春はスタートの季節」なんて言葉があふれています。


明るい服を着て、新しい手帳を買って、何か始めようって思ってみたり。

「さあ、わたしも切り替えていこう!」

そんな気持ちになるには、たしかにぴったりな季節。前向きな空気がそこかしこに漂っていて、なんとなく自分もそれに乗らなきゃいけないような?そんな気分になります。


でも、その一方で──

体がついてこない。なんとなく重い。いつもより疲れやすい。朝は起きづらいし、ぼーっとしている時間が増える。

集中しようとしても思考がまとまらず、やるべきことが目の前にあるのに手が動かない。

「今日はなんでこんなにだるいんだろう」と思いながら、それでもやらなきゃと自分をせかしてみたり。でも気合いだけじゃ空回り・・。

そんな自分に、なんだかがっかりしてしまう。。


これって私だけ?って思うかもしれません。

でも実は春って、けっこう多くの人が似たような“なんか変…”を感じています。


たとえば、朝の目覚め。

冬のあいだは寒さで目が覚めていたけれど、春になるとぬるい空気に包まれて布団が恋しくなる。アラームが鳴っても頭が重くてスッキリ起きられない。

無理やり体を起こしても目がしょぼしょぼして、なんだかいつまでも夢のなかにいるような気分が抜けない。


日中もなんとなく気だるさが残ったまま過ごす。

パソコンに向かっていても言葉が出てこない。

考えがまとまらず、何度も同じところを読み返してしまったり、ミスが増えたり。

集中しようとするほど頭がぼんやりして効率が悪くなる。

そうして1日が終わる頃にはいつもよりずっと疲れていて、なぜかため息ばかりついてしまう。


夜は夜で眠たいのに眠れない。

スマホを見ながらベッドに入っても思考がぐるぐるしてなかなか寝つけず、浅い眠りのまま朝を迎える。

そしてまた、だるいまま1日が始まってしまう。


気分も安定せず、「さっきまで元気だったのに?」と、自分でも戸惑うくらい、感情の波が大きくなる。

涙もろくなったり、何でもないことで落ち込んでしまったり──

春は、こころの調子も揺れやすい季節です。


こうした“ゆらぎ”は、寒暖差のある季節だからこそ、というのもひとつの理由です。

朝晩はまだ冷えるのに、昼間は汗ばむほど暖かい日もある。

着るものにも迷うし、体は気温の変化に対応しようと常にエネルギーを使っています。


加えて、天気や気圧の変化も。

晴れたかと思えば、急に曇って雨が降る。

風が強かったり気圧が下がったりすると、頭痛や倦怠感、気分の落ち込みにもつながります。実は“お天気メンタル”という言葉があるくらい、私たちの心と体は空模様に影響を受けやすいのです。


そしてもうひとつ、見逃せないのが「新しい環境や人間関係によるストレス」です。

春は、学校や職場での“はじまり”が多い季節。

新しい人、場所、役割…慣れないことだらけで、気づかないうちに気を張ってしまっている。

「いいスタートを切らなきゃ」「失敗できない」「空気を読まなきゃ」

そんな思いが知らず知らずのうちに心と体を緊張させています。


たとえ自分自身の環境が変わっていなかったとしても、周囲の変化に巻き込まれることで、どこか落ち着かない感覚になることもあります。

家族の進学や転勤、年度替わりの仕事の雰囲気、電車の混雑、街のざわつき──

いつもと同じように見えて、なんとなく違う“春の空気”にさらされ続けることで、体も心も疲れてしまうのです。


「がんばらなきゃ」と思う一方で、「うまくいかない」「どうして調子が出ないんだろう」と落ち込んでしまう。

周りが前向きに見えるからこそ、自分のペースの遅さが気になってしまう。

でも、それは決して“ダメな自分”ではなくて、季節の変化にちゃんと反応できている、健やかなサインかもしれません。


春は気づかないうちにいろんなストレスが積み重なる季節。

外側からも内側からも、心と体に負荷がかかっているのは自然なこと。

それによって“なんか変”と感じることは、ある意味とても正常なことなのです。



そして実は、こうした不調の背景には、「自律神経」というキーワードが大きく関わっていることがわかってきています。

見えないけれど、わたしたちの心と体のバランスを保ってくれている大切な存在。

次の章では、その「自律神経」について、少しやさしく掘り下げてみましょう。

自分の中でひそかにがんばっているものに気づくだけで、きっと少し、気持ちがほぐれていくはずです。




◆2. それ、自律神経が春モードに切り替え中かも


春になると、「なんか変だなあ…」って思うこと、ありませんか?


朝がつらくてなかなか起きられなかったり、昼間もずっとぼんやりしていたり。眠いのに寝つけなかったり、気分が晴れなかったり、ちょっとしたことでイライラしたり。自分でも「なんで?」と思うくらい、体と心がちぐはぐになる日が増えてくる。


実はそれ、「自律神経」がちょっとバタバタしてるサインかもしれません。


あらためて、自律神経ってどんな働きをしているかというと──簡単に言えば、わたしたちが意識しなくても、体のいろんな働きを自動で調整してくれている、すごい仕組みです。


たとえば寝ている間も心臓は動いてるし、呼吸もしてるし、消化も勝手に進んでますよね。それってぜんぶ、自律神経のおかげ。


この自律神経には、「交感神経」と「副交感神経」という2つのチームがあります。


交感神経は、元気に活動するときに活発になる“がんばる神経”。朝起きて、動き出して、仕事したり集中したりするタイミングでスイッチが入ります。


副交感神経は、リラックスするときに働く“休ませる神経”。夜になってお風呂に入ったり、ごはんを食べたり、ぐーっと眠くなってくるのはこの神経が働くから。


この2つが、朝と夜、緊張とリラックスのバランスをとりながら、日々私たちをサポートしてくれてるんです。


でも、春になるとこのバランスがちょっと乱れやすくなります。


冬のあいだは、どちらかというと副交感神経が優位な“休息モード”。寒いから、自然と省エネで過ごすようになって、体もゆったりと静かに動いています。

ところが春が来ると、太陽の光が強くなって、気温も上がってきて、「よし、活動開始だ!」と交感神経ががんばり出します。


…とはいえ、体のスイッチは急に切り替わるわけじゃありません。「まだ休みたい〜」と思ってる副交感神経と、「動かなきゃ!」と思ってる交感神経が、体の中で綱引きしてるような感じ。これが、自律神経が“切り替え途中”の状態なんです。


この綱引きがうまくいかないと、朝起きられないのに夜は眠れないとか、やる気が出ないのにイライラしてしまうとか、なんだかずっとモヤモヤしてる…という状態になりやすいんですね。


さらに春は、外の環境も変化が大きい季節。

気温がぐんぐん上がる日もあれば、次の日は寒の戻りでブルブル…。天気もコロコロ変わって、気圧も不安定。花粉や黄砂、強風に乾燥…。

もう、とにかく体にとっては“調整がむずかしい”ことだらけなんです。


それに加えて、春は「新生活」や「変化」が多い時期。進学や就職、部署異動に引っ越し、年度替わり…。環境が変わらなくても、周りの空気がガラッと変わるだけで、人は緊張したり気を張ったりしてしまいます。


そうなると、体のバランスを保っていた自律神経は、いよいよフル稼働状態。なんとか持ちこたえようと必死にがんばってくれているぶん、「だるい」「眠い」「気持ちが沈む」「イライラする」といったサインが体に出てくるんです。


さらに、自律神経って実は、感情ともとても深い関係があります。


脳の中で自律神経をつかさどる部分と、感情を感じる部分はとても近い場所にあるんですね。だから、緊張すると胃がキリキリしたり、不安なときに呼吸が浅くなったりする。

逆に、うまく深呼吸できるようになると、なんとなく落ち着いた気分になる。

これもぜんぶ、自律神経と感情のつながりなんです。


だから、「理由もなく不安になる」「涙もろくなる」「気分の波が激しくなる」という春特有の“こころのゆらぎ”も、実は自律神経が関係していることが多いんです。


こうして見ていくと、春の「なんか変…」って、ほんとうにいろんな要因が重なって起きていることがわかります。


でも、だからといって不安になる必要はありません。むしろ、「自律神経、がんばってるなあ」と思ってあげてほしいんです。


調子が出ないのは、あなたがサボってるわけじゃない。やる気が出ないのも、気合が足りないわけじゃない。

自律神経が、いま一生懸命、季節の変化に対応してくれてるところ。

つまり「春モードに切り替え中」なんです。


ほんの少し、自分の体と心の声に耳をすませて、「いまはそういう時期なんだな」って受け入れてみるだけでも、きっと気持ちはふっと軽くなります。


次の章では、そんな“切り替え中”の自律神経と、どうやってやさしく付き合っていけるかをお話していきます。無理に整えようとしなくていいんです。

小さなことから、できることから、ゆるっと。

あなたらしい春の過ごし方を、一緒に見つけていきましょう。




◆3. ゆらぎやすい季節こそ、ゆるっと整える


春の“なんか変…”が、自律神経の切り替え途中に起こるものだとしたら、無理やり整えようとするのではなく、やさしく寄り添ってあげることが大切です。


がんばって動かそうとせず、「今の自分はこうなんだなあ」と一歩引いて見てみる。それだけでも心と体はちょっとホッとします。

少し肩の力が抜けて、「ま、いいか」って笑えるような、そんな気持ちになるときもあります。

「なんでこんなにダルいんだろ…」と朝ぼんやり思いながらも、どこかで「まあ、こんな日があってもいいよね」とつぶやけるようになったら、それだけで十分な回復のサインかもしれません。

そのうえでほんの少しだけ「自分のための整え方」を、日々の中にそっと差し込んでみましょう。


それは難しいことや、意識高い系のルーティンじゃなくて大丈夫。

“ちょっと気持ちいいこと”を、無理のないペースで取り入れるだけで、体と心はゆるやかに整っていきます。

たとえば朝目覚めたら、まずカーテンを開けて光を浴びてみましょう。

太陽の光は、体内時計をリセットしてくれて、自律神経の切り替えをサポートしてくれます。それだけで「今日がはじまるなぁ」という実感が少し湧いてきます。部屋の空気も明るくなって、「ちょっとだけでも動いてみようかな」って気持ちがほんの少し芽生えることも。


そして深呼吸。寝たままでも座ったままでもいいので、ゆっくり息を吸って、ゆっくり吐く。それを3回ほど繰り返すだけでも、呼吸のリズムが整い、交感神経が静かに目を覚まし始めます。


なんとなく心がざわついていた朝でも、「まあ、今日はここからでいいや」って思えるようになることもあります。「まだ本調子じゃないけど、それでも生きてるなぁ…」なんて、少しおかしな安心感が生まれたりもします。


気持ちに余裕があれば、軽くストレッチをしてみるのもおすすめです。

大きく背伸びをして、肩をゆっくり回す。首をゆるやかに横に倒して、反対側も同じように。

足首をくるくる回すだけでも、体の血流がよくなって、頭のぼんやり感が和らいできます。ストレッチ中に「あ、なんか少しスッキリしたかも」と感じられたら、それだけで十分です。「あ、ちゃんと息してるなあ」と、体の感覚を取り戻すような瞬間がふいに訪れることもあります。


「朝から運動なんて無理」と思う日も、全然かまいません。

そういうときは、夜にお風呂にゆっくり入るだけでも十分です。

38〜40度くらいのぬるめのお湯に10分ほどつかると、副交感神経がじわっと働き始めて、緊張がゆるんでいきます。


お湯のなかで、何も考えずぼーっとしているうちに、「まあ今日はこのくらいでいいか」って思えてくる。そんな夜があってもいいのです。

「誰にも褒められないけど、ちゃんと今日もお風呂に入った。それだけで花丸だよね」なんて、自分に小さなご褒美をあげるような気分になることも。


お風呂上がりに、バスタオルを敷いて寝転んだ状態で、脚を上げて“足パタパタ”をするのもおすすめです。むくみが取れて、全身が軽くなったような感覚になりますよ。

心までふわっと軽くなるような不思議な開放感に包まれることも。

「ああ、今日もちゃんと自分の体とつながれたな」って、そんな風に思える瞬間って、じわっと幸せです。


日中に気分が沈みがちな方は、外に出て、風を感じるだけでもいいんです。近所のコンビニまで歩くとか、ベランダで深呼吸するとか、とにかく「今、季節の中にいる」ということを、体で感じてみる。風がふいて髪がなびいた瞬間、「あ、春だなあ」って気づくこともあります。「わたしの中にも、ちょっとずつ春が来てるのかもしれない」って、ふと思えるだけで、心がふわっとやわらかくなったりもします。


気持ちが重いときは、どうしても内側にこもってしまいやすいけれど、ちょっとだけ視点を外に向けてみれば、そこにはちゃんと春の景色が広がっています。

ふと見上げた木の枝に、小さな新芽がついていたり、足元にたんぽぽが咲いていたり。

そういう小さな発見が、心をじんわりゆるめてくれるのです。


「季節ってちゃんと進んでるんだな」「わたしも、ちょっとずつでいいか」

そんな風に思えるとき、自分をせかす気持ちがすっとおさまることがあります。


心にも働きかけてくれる習慣としては、香りや音を使うのもいい方法です。

柑橘系のアロマを1滴ハンカチに垂らして、ふっと香りを吸い込むだけで気持ちが切り替わったり、お気に入りの音楽を流して、何もしない時間をつくったり。

好きな香りや音に包まれると、なんとも言えない安心感があって、ちょっとしたことでイライラしていた自分が、なんだか遠くに思えてくることもあります。

「あんなことで怒ってたなんて、ちょっと笑えるかも」なんて肩の力が抜ける瞬間もあるでしょう。


スマホを一時的にオフにしてみるのも、意外と効果的です。

情報が多すぎると交感神経がずっと興奮モードになってしまいます。

静かな時間をつくることで、副交感神経がゆっくり働きやすくなるのです。

スマホを置いて「今のわたし、なにもしなくていいんだ」って思える時間って本当に貴重です。


そして何より大切なのは「調子が悪い日があってもいい」と、やさしく思えること。

どうしても人は、調子のいい自分=正解、と思ってしまいがちだけれど、実は「うまくいかない日」や「気分が乗らない時間」も、ちゃんと意味のある時間です。


そのままの自分でもいいと感じられたとき、ふっと肩の力が抜けて、「今のわたし、案外悪くないかも」と思える瞬間がやってくることもあります。


「がんばれない自分も、ちゃんとわたしなんだよね」って、少し優しく認めてあげられるようになると、心の中にあったカチコチの緊張が、ゆるゆるとほどけていく気がします。


そんな日こそ、自分にとっての“やさしい選択”をしてみてください。

ごはんをちゃんと食べる。あたたかい飲み物をゆっくり飲む。あえて予定を入れず、ぼーっとする時間を確保する。


お気に入りの毛布にくるまって、ただうとうとして過ごす日があってもいいんです。

「今日はこれでよし、十分」そう思えるだけで、心はちゃんと整いはじめます。

がんばることは、いつでもできる。でも、ゆるめることは「今」だからこそ大事にしたい。

自律神経がゆっくり春モードに変わっていくように、あなた自身も、ゆっくり季節とともに整っていけばいい。


何かを始めなくても、がんばらなくても、“今の自分”を整えることはできるんです。


こころと体がゆるんできたら、自然と動きたくなる瞬間がやってきます。

それまでは焦らず、春のリズムに合わせて、ゆるっと整える。

「それでいいよ」って、自分の中から聞こえてくる声にそっと寄り添ってみる。

そんな春の過ごし方も、きっと素敵です。




◆4. 春のリズムに、のっていこう


少しずつ、少しずつ。自分の心と体がゆるんでいくのを感じると、「ああ、ちゃんと整ってきてるのかもな」と思える瞬間が訪れます。


最初はほんの少し。「昨日よりちょっとだけ気分がいいかも」とか、「今日は朝、起きるのが前よりラクだった気がする」とか、そんな小さな変化。


でもその小さな変化が、じわじわと広がって、自分の内側をやわらかくほどいてくれるでしょう。


季節はちゃんと進んでいます。寒かった朝も、やがて暖かい日差しが差し込んでくるように、気持ちの中にもふわっとした光が差し込んでくるタイミングがある。


いつのまにか冬のコートを着なくなっていたり、スーパーに並ぶ野菜の色が春らしくなっていたり、街の空気が軽く感じられたり。


そんな小さな気づきのひとつひとつが、「いま、自分も季節と一緒に進んでるんだな」と教えてくれます。

「なんか、ちょっと気がラクになってきたかも」 「今日の空、きれいだな」 「うん、今のわたし、けっこう好きかも」


そんなふうに、ぽつりぽつりと心の中に浮かんでくる小さな言葉が、春のリズムにのれてきたサインかもしれません。

自律神経ががんばって調整してくれているように、私たち自身も、日々のなかで少しずつバランスをとって生きています。ときには揺らぐし、立ち止まる日もあるけれど、それも含めて“ちゃんと進んでる”。


「今日はダメだったなあ」と思った日だって、実はものすごくがんばっていたりする。「ほんとは今日、よくやった日かもしれないな」って、自分に声をかけられたら、すごいことです。


春は何かを始めなきゃいけない季節じゃなくて、「今のわたしを味わっていい季節」でもあるのかもしれません。

立ち止まって、深呼吸して、花の匂いや風の音を感じてみる。「今日はなんにもできなかったなあ」と思う日も、ちゃんと春を過ごした一日。


「なんとかなるよ」 「今日はこれでいいや」 「それでも、わたしはわたし」

そんな言葉が自然に浮かんでくるようになったら、きっともう、自律神経もうまく春モードに切り替わっているころ。


心の中の“硬さ”が少しずつほどけて、代わりに“やわらかさ”が広がっていく感覚。「がんばらなきゃ」よりも、「気持ちいいな」「うれしいな」を大事にしてもいいんだなって思えるようになります。


焦らず、比べず、自分だけのペースで、心地よい春を。

ゆるやかな呼吸と、やさしい光と、少しだけほほえむような時間を。

たとえば、ちょっと贅沢してお気に入りのパン屋さんまで足をのばしてみたり。

ふわふわのパンの香りに癒されて、「ああ、今日ここに来てよかったな」って思える。それも立派な春の時間です。


ふとベンチに座って、何も考えずに風に吹かれてみるのも◎。通りすがりの子どもの無邪気な笑い声に昔を思い出し、なぜかちょっと泣きそうになる日がある。それは、自分のこころがちゃんと感じている証拠でしょう。


お気に入りの喫茶店でホットコーヒーを飲みながら、窓の外をぼんやり眺める。「あの人、春のコート着てるな」「あ、あの木に花が咲いてる」——そんな他愛もない観察が、やさしく自分の心を今に戻してくれます。


「ゆるんできたな」「ととのってきたな」と思える時間は、もしかしたら何かを成し遂げた瞬間ではなくて、なにもしていない、ただ“ある”だけのときにふっと訪れるのかもしれません。

無理にシャキッとしなくても、冬のように閉じこもっていてもいい。春は、芽吹く途中のゆらぎを、まるごと許してくれる季節。だから、あなたもぜひ、あなたらしいリズムで、春とともに過ごしましょう。




あとがき 〜春の隙間に、やさしさを〜


季節の変わり目って、思っている以上に心にも体にも、静かに波を立てるものなんだなと、あらためて思いませんか?


自分ではそんなつもりなくても、気がつけば疲れていたり、ちょっとしたことで落ち込んだり。

いつもの自分と少し違うだけで、「あれ?おかしいな」「ちゃんとしなきゃ」と焦ってしまうこと、ありますよね。


でも、そんなときほど、そっと立ち止まって深呼吸。

「だいじょうぶ」「ここにいるだけでえらいよ」

そんなふうに声をかけてあげられたら、もうそれだけでじゅうぶん。


春は、新しいことを始める季節でもあるけれど、

何もしなくても、ただ生きてるだけでも、ちゃんと春を過ごしているんです。


うまく笑えない日も、何も進まない日も、心がぐるぐるしてしまう夜も。

ぜんぶ、春の風の中にそっと浮かべて流していきましょう。


そしていつか、ぽかぽかの陽だまりのなかで、ふっと心がほどける日が来たら、

そのときはどうぞ、その心地よさを、あなた自身のものとして大切にしてください。


今日という一日が、やさしい春のワンシーンになりますように。


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